50倍の入試を突破した薬学生の驚くべき学力とは…?!


こんにちは。青年海外協力隊の薬剤師隊員としてモザンビークで活動中のもとまさと申します。今回はいつも指導している生徒たちの学力が日本人の感覚からすると飛びぬけていたので今回はそのレポートをしたいと思います。因みに、私の勤めているケリマネ医療従事者養成学校という場所は学費無料ということで人気・倍率ともに非常に高くなっております。

 

1. 驚きの計算力

さて、いつもブログを読んでいただいている方は既にご存知かと思います。が、まずは彼らの計算力からです。日本の薬学部と言えば化学や数学を得意としている学生が多く集まる場所だと思います。でもモザンビークでは…

 

例えば「0.3+1.2=」という式を見ると怯みます。

 

分数同士の足し算ができるのは半数以下。

 

「20-5=」は回答できますが、「-5+20=」となると答えが変ります。

 

約分はクラスの優秀な子でもできるとは限らないし、マイナス同士の掛算も足し算も両方とも+になると覚えている子が沢山います。

また、モザンビークには九九という概念がないようで、例えば「7×8=」という式を見ると、「7が8個ある」ということは理解できるのですが、「7×8=56」とはならず、「7+7+7+7+7+7+7+7=56」となります。どういうことかと言うと、「1日3回、1回2錠、14日分」という処方箋を見ても「3×2×14=84」とできず、業務に支障が出るということです。また、日本人であれば「10、11、12の平均が6ではない」ということは一瞬でわかりそうなところですが、そういった数字の感覚がないので気付けません。これは学生ではなく、講師たちの話ですけど…成績表を作っているときにExcelでうろ覚えの関数を用いて違った数字を導いた挙句、その間違いに気付けないという…。生徒の成績って結構大事な数字なのですが、この前ある学部で90%以上の数字が間違っているという奇跡的な異常事態に陥ったり…。

 

いや、問題山積。。。薬の量や錠数などを毎日…というか業務をするたびに確認しないといけないのに、ずっと電卓を使用する気なのだろうか…?改善させないとやばいな…と最近強く感じている驚きの計算力についてでした。

 

2. それは常識ではないの…?と驚かされたこと①

薬学生と言えば化学や数学が飛びぬけており、ちょっと常識がない人…というのが少なからず日本にもおります。特に私立の受験科目が英数理の3教科であることが多いので、社会や歴史、国語などに大きなハンディキャップを抱えている人もいます。(偏見かもしれませんがw)が、それを軽々と超えてくるのが僕の可愛い生徒たち(笑)

ある日、授業で一次方程式について説明していました。

4x+3=-x-4

「まず、これはxを左側に、数字を右側に移動させます。」

4x+x=-4-3

「右から左、もしくは左から右に移動した場合は±が変わるので忘れないように注意しましょう。その後、計算を行います。」

5x=-7

「xについている5が邪魔なので両辺を5で割りましょう。すると…」

x=-7/5

「これで完成ですね。皆さんもやってみましょう。」

 

ということで、問題演習開始。が、最初から戸惑っている生徒がいるので、お助けに入ります。「まずは、xを左に移動させてみて。」

 

……!!!! ん? (そっち右だけど…。)

 

「右じゃなくて左だよ。Xは左、数字は右…」と再度説明したところ、

 

「…?」という顔をする生徒。まさかの「右」と「左」からの説明が必要だった――――!という衝撃的な体験をしたのでしたw

 

3. それは常識ではないの…?と驚かされたこと②

ある日、病院で実習を受けている生徒たちが在庫管理の説明を受けていました。各病院によって異なるのですが、在庫の計算式というものが用意されています。ケリマネ中央病院という日本の県立、もしくは国立病院クラスの大きな病院での出来事です。

「まず、1週間でどの程度薬を使用したか知る必要があります。先週の在庫と今週の在庫を照らし合わせて計算することで1週間の使用量がわかりますね。ここケリマネ中央病院では1日分の余裕を持たせて発注するようにしていますので、1日の平均使用量を割り出し、1日分追加して発注してください。」

という説明の後、練習問題が生徒たちに配られます。

要は、1週間で700錠使っていたら1日100錠使った事になり、1日分追加ということで在庫が800錠以上になるように管理しているのだとか。

まぁ、在庫管理方法の話はさておき、生徒たちが取組む問題を遠目から見ていると…1週間分の使用量まで求めることができたのに手が止まってしまう生徒がいました。「どうしたの?1週間分の使用量がわかったんだからどうしたらいい?」と聞きますがフリーズ。「1週間分の使用量を日数で割るの?掛けるの?」と聞きますがフリーズ。

その後発覚したのは、割る、掛けるの前に1週間が何日かわかっていなかったということ…。(そこから?!)

 

もちろん、その後足したらいいのか掛けたらいいのか、割ったらいいのかもわからないし、もちろん1日分追加して、現在庫の数字を引くなんて高度なことを1人でできるはずもなく…こんな同僚いたら大変だな…と。。。薬剤師というか何の仕事もできないような…と不安に駆られましたが、それでも何となく回ってるモザンビーク社会はこれからどうやって発展し行くんだろうか。ちょっと…というかかなり不安。

 

因みに今回ご紹介した生徒たちは50倍という高い倍率を乗り越えて入学してきた生徒たち。ザンベジア州の優秀な生徒たちが集まっています。(そのはず…。)ですが、このレベルです。ということは、教育を受けていない人、教育を受けられなかった人が文字を書けない、計算ができないのは当たり前。怪我をしたときの対処法や毎日のご飯に関する栄養なんてもちろん知りません。これからこの国が発展していくために最も必要なことは「教育」であることは間違いないでしょう。

 

今回ご紹介した内容はほんの日常の一コマに過ぎません。皆さんが知らない世界がアフリカには沢山あります。そんな彼らの一助となれるようにコツコツ活動をしています。皆さんももしアフリカに興味があれば行ってみて下さい!

そう言えば、先日包茎治療を専門にしている医師と話しているときも、「包茎治療をすればHIVに感染しない!」と言い切っており、不安しか感じませんでした。その後訂正しようと試みたものの聞く耳をもたない…。こんな体験を毎日しています。。。

最後まで読んでいただきありがとうございました!頑張れ!挫けるな!またレポート読んでみたい。と思っていただけた方は下のボタンをぽちっとしていただけると嬉しいです。では、また会いましょう!


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