青年海外協力隊は災害時に動けないボランティア。サイクロン「イダイ」による被害。


2019年3月14日にサイクロン「イダイ」がモザンビークのベイラという第3の街を直撃しました。モザンビークの災害マネジメント機関(Mozambique’s National Disaster Management Instutute)によるとモザンビークでは493名の方が犠牲になり、モザンビーク、ジンバブエ、マラウイの3ヶ国で738名の死者が確認されました。(2019年3月29日現在)未だに行方不明者も大勢います。イダイの直撃以降、コレラ患者が138名まで急増しており、感染症の増加が今後も懸念されています。

(参照:https://www.reuters.com/article/us-africa-cyclone-cholera-idUSKCN1RA0UG

日本でも大きく報道されたようですが、ベイラのあるソファラ州に隣接するザンベジア州の住人であるもとまさにとっても気にせずにはいられない話題となっています。幸い、住んでいるキリマネという市にはほとんど影響がなく、今では何事もなかったかのような生活を送ることができています。日本の友人からも沢山の連絡をいただきましたが、無事ですのでご心配なく!青年海外協力隊に参加したのは国境なき医師団を見据えてのこと。「災害や紛争で本当に困っている人を助けたい」と思って日本を後にしたのですが、現在ベイラでボランティア活動を行っているのは青年海外協力隊ではなくJICAの国際緊急援助隊・専門家チーム、医療チームだそうです。薬剤師も同行しているそうです。薬剤師として、モザンビーク住人として参加したい!

青年海外協力隊は基本的に危険な地域への渡航ができません。安全第一です。今回の場合も渡航してボランティアに参加することはできないでしょう。とてももどかしい。こういう時に誰かの力になりたいと思ってやってきたのに、それができない。何もできずにニュースを見ることしかできない。せっかくポルトガル語を話し、モザンビークについての経験もあるのに黙ってみているしかない。JICAとしては隊員の安全を確保することが最も重要な任務です。でも、その危険を知りつつもそこで誰かを助けたいと願っている人がおり、それを必要としている人がいる。死ぬのは怖いですが、何もせずに死ぬ方がもっと怖い。

今できることはありません。日本からいただいている支援物資をベイラの方々に寄付することと、少し様子が落ち着いてからボランティアに参加することでしょうか。JICAから許可がでるかはわかりませんが。同僚と「金・女・酒」の話をしているぐらいなら、少しでもベイラで活動をしたいなと思っています。基本的に青年海外協力隊の隊員は少し離れた場所に移動するときは「国内移動届」というものを提出し、事務所からのOKをもらって初めて渡航可能となっています。今は専門家集団に任せるしかありませんが、5月ころの少し落ち着いた時期にボランティアに行きたいなと。しない後悔よりする後悔。JICAからOKでなかったら…どうしましょうかね。

 

僕の大好きな言葉に従うだけです。

 

ちょうど、今回の災害について「ボランティアとして何かしたいね」と他の人とも話していたのですが、やっぱり青年海外協力隊として来ている人は「誰かのために行動したい」っていう根底の部分が共通しているなって思いました。いつもはそんな素振りを一切見せない友人なのですが、「モザンビーク事務所が隊員に災害ボランティアの要請をしないのはおかしい!」「ボランティアとして来てるんだから困っている人を助けるのは当然!」「任地とか配属先も大事だけど自由に動ける我々が率先して被災者を助けるべき!」など熱いことを言っていました。確かにボランティア団体としてモザンビークに貢献するために来てるんですよ我々。でも正直、任地ってそんなに我々のことを求めてないんですよ。いてもいなくてもさして変わらない。そんな存在として過ごすぐらいなら、被災地で泥かきでも、炊き出しでも、医療機関の雑用でもすればいいんですよ。その方がよっぽどモザンビークに貢献できると思うんだけどね。

青年海外協力隊を紛争地や災害時に活躍している国境なき医師団やWHOなどの機関と勘違いしている人も多いようですが、そんなことはありません。言い方は悪いですが、基本的に安全な場所で衣食住が整った状況でボランティア活動を行っているだけです。それが悪いわけではありませんが、「本当に困っている人たち」を助けたいのであれば青年海外協力隊ではなく紛争地などで活動しているNGOやもっと世界的な機関(MSF、WHO、UNHCR)で活動することをおススメします。今は日本に帰りたい気持ちでいっぱいですが、少し落ち着いたらそういうところにもチャレンジしたいなと思っています。

何はともあれ、人生で2番目に長く住んだ国なのでどうにかベイラの支援をしてから帰国したいと思います。7月1日にはモザンビークを発ちますので時間はありません。いろいろ情報収集をして、最後に貢献して帰国したいと思います。応援していただける方は気軽にコメント等お待ちしております。では、また!


「青年海外協力隊は災害時に動けないボランティア。サイクロン「イダイ」による被害。」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    青年海外協力隊パプアニューギニア薬剤師隊員OBのミチと申します。いつも拝見しております。

    今回のサイクロンの被害については日本でも大きくはないですが報道されており、現在私の所属する団体でも医療支援を含む緊急支援を計画しています。

    パプアニューギニアでは1998年7月にアイタペという地域を巨大な津波が襲い、死者・行方不明者2,200人という甚大な被害をもたらしました。当時のPNG隊員の方々は日本の人々に向けて募金活動をインターネット等を通じて行い、被災地の支援を行ったそうです。

    「被災者のためになにかしたい」というもとまささんのお気持ちはわかりますが、青年海外協力隊という現在の立場でJICAのルールを無視して行動を起こすことは得策ではないと思われます。

    今回の災害からの復興は当然長期にわたると考えられます。もとまささんは7月に帰国されるということで、被災地に赴き何かをされるのであれば任期満了後でも遅くはないのではないでしょうか。
    それよりも、残り少ない任期を任地の人々のために充実させたものにし、同時にブログを通じての情報発信や、募金活動などで被災地支援を行うのがいいのではないでしょうか。

    今後ともブログの更新、楽しみにしています。

    1. みちさんはじめまして!ありがとうございます。恐縮です。
      募金活動ですか!確かにいくらあっても邪魔にならないですしいいですね!
      JICAのルールを破ることが良いとは思ってないですけどね…(笑)
      みちさんの仰る通りだと思います。
      まー、天邪鬼なのでどうなるかわかりませんが、とりあえずお伺いは立てようかなと思います。
      帰国も近づいていますが、なぜか今になってイヤイヤ期発症中なので…。
      また遊びに来てくださいね!今後もコツコツ続ける予定ですので宜しくお願いします☆

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です